推しのマリッジから1週間。

 最近、お笑いにハマっている。正確に言うと2022年のM-1ぐらいからハマっている。令和ロマンにヨネダ2000、マユリカヤーレンズ男性ブランコ、9番街レトロ、NONSTYLEなどなど。2023年のM-1なんかはセットの輝き以上にキラキラして見えた。血を流さない綺麗な戦いだなあと思った。敗者復活戦2位になった時の令和ロマンはYouTubeのネタを漁るぐらい興味津々だった。たった1年後にまさかの優勝を果たしたのだから拍車がかかるに決まっている。つい最近初めてよしもとの劇場に行ったぐらいである。そのせいかYouTubeを見る時間もありえないぐらい増えている。正直めっちゃ楽しい。ヤレロマ(準優勝のヤーレンズと令和ロマン)の尊さについて誰かと語り合いたいくらいである。

 

 と、ここまで加藤さんの話を全くしていないが、加藤さんのことを綺麗さっぱり忘れているわけではない。

 いつも頭の中に加藤さんがいるというより、あらゆる日常の根底に加藤さんがいることに自分ですら気づいていない。後になり「そういえばあれも元はと言えば加藤さん、、、」と自分にびっくりするし、そんなふうにたくさんのアンテナや興味を持っている加藤さんに対してさらに驚きと感動と尊敬が生まれてしまうのである。これらの時間を勝手に“加藤タイム”と名付ける。

 お笑いもまさに加藤タイムである。一昨年2022年のM-1はSORASHIGEBOOKで熱量高く語っていた。それを聞いて少し遅れてハマったのである。去年は加藤さんも見てるかなーと思いながら楽しんだ。ソラシゲでは令和ロマン、ヤーレンズマユリカの話をしていて、「私とツボが一緒だ♡」とテンションが爆上がりした。

 

 ハマる前も芸人さんに対して、面白いとかすごいという気持ちはあった。しかし好きに理由はないのだ。一瞬にして推しができる。

 

 令和ロマンの高比良くるまさん。面白いから「素敵だなあ」に変わる瞬間があった。優勝したのも大きいが、あとからウレアカという企画で容姿を磨く努力をしていたことを知る。知性があるところも加藤さんと似ていていいなあと思う理由である。これはちょっとした加藤タイム。もちろんそれ以外にもときめく理由はあるがこのじわじわとくる沼に、好きという感情に、理由はない。

 好きに理由はないからこそ、好きになりすぎると、その好きを失ったり今までの形が崩れてしまったりすると、足元が見えなくなるように底なしの絶望感に襲われる、つまり深く傷ついてしまうのだ。加藤さんが言いたかったことの深さと自分への刺さり具合にまたまた加藤タイムが始まる。

 

 

 2024年3月3日。加藤さんが結婚した。なんだか「推し、燃ゆ。」の冒頭みたいになってしまったが炎上したわけではなく、たまたま長く応援していた推しがたまたま人生において奇跡でありおめでたい瞬間を迎えただけだ。それだけだ。しかし8年近く応援してきた私は心が炎上しまくっていた。その炎を消すためかとでも言うように涙がポタポタと流れていた。スーッとではない。ポタポタと流れていた。びっくりした。なんの涙なのだろう?と。前触れのない勢いの大きさにびっくりしたのか。素敵な瞬間を迎えたことに感動したのか。加藤さんに愛され愛すことのできる人がいるという事実への嫉妬か。悲しみか。寂しさか。

 おそらく全部違って、全部当てはまっている。今まで足元を支えてくれていたものが一気に崩れ去っていく感じがして、前を向いて歩けなくて、そんな自分のこの先を思うと寂しくて泣いたのだ。それに加藤タイムが既婚者•加藤タイムに変わるのが複雑すぎるのだ。心の拠り所にしていいのだろうか。応援はするけれど、線引きした応援の仕方をした方がいいのか。心に違う拠り所、高比良くるまタイムを設けた方がいいのか。

 いやいや、憧れている人は加藤さんだけだ。憧れているから、魅力が多すぎるから、加藤タイムがやってくるのだ。涙がこぼれたのは、これから加藤タイムに違和感を覚えてしまう自分、少しずつ加藤タイムがなくなっていく自分を想像したら寂しいからだ。白黒、とまではいかなくても、いろいろな景色がただの背景に見えてしまうのではないかと恐怖に襲われていたのかもしれない。涙の正体は寂しさと恐怖だ。でも1週間経って、あの瞬間以外に涙は出ていない。依存していたと言われればそれまでだけれど、少しずつ気持ちの整理ができれば、加藤タイムだなあと、しみじみ実感する程度に割り切れるのだと思う。実際、割り切れている自分もいる。

 

 加藤さん、とりあえず令和ロマンさんと共演しませんか。そしたら私は次に進める気がします。

 こういう希望が自分を助けてくれるので、推しが生きているだけで尊いと思ってこれからも生きていこうと思う。絶対に読まれないと思うけれど、読まれたら困るけれど、結婚おめでとうございます。アディオス。